Q13.役員等借入金は計上されないほうがよいですか?(埼玉県さいたま市大宮区在住S様のご質問)
耳慣れない言葉ですが、役員等借入金は、同族会社の法人において頻繁に現われる勘定科目です。役員等借入金は、会社が社長や役員などから資金を借り入れていることを意味します。役員等借入金が現れる大きな理由としては、会社の経費や資産の購入などを役員のポケットマネーから支出していることがあげられます。
通常、法人においては、複式簿記という方法で記帳が行われます。複式簿記で記帳しますと、現金がどういう理由であるのかが分かってしまうのです。現金が存在する主な理由としては、売上(収益)・銀行などの借入金(他人資本)・資本金(自己資本)があります。これら以外の理由で現金が存在するとすれば、社長のポケットマネーである可能性が高いことになります。同族会社では、社長の財布と会社のお金を明確に区分していない場合も現実には多いのです。
税務的には、役員等借入金は税務署も目をつける勘定科目ではあります。それは、売上をごまかすために、役員等借入金を使っているか疑われるからです。しかし、売上をきちんと計上して(現金売上も含めて)、役員等借入金が発生した理由を税務署に説明できれば大丈夫です。例えば、従業員の給与を払うためであるとか、車を購入したため、新たな事業を始めたためなど、説明ができれば特に問題はありません。ただし、売上を漏れなくきちんと計上していることが前提となります。
役員等借入金については、利息を支払う必要はありません(役員等貸付金では受取利息を計上します)。役員等借入金を生じさせないためには、例えば経費を10万円使ったら、会社の通帳からだいたい10万円を引き出すようにします。そうすれば、役員等借入金は生じないため、貸借対照表はきれいになります。
もし、役員等借入金を消したい場合には、資金に余裕のある時に通帳から現金を多めに引き出すことが考えられます。現金を引き出さないで役員等借入金を消したい場合には、債務免除という方法をとることもあります。この場合には、債務免除益という収益が計上されることや株主への贈与とされることもあるので、注意が必要です。もっと過激な方法としては、役員等借入金を資本金に振り替えるDES(Debt Equity Swap)というものもあります。これは、税務署に否認される可能性が高く、私どもではお勧めしていません。
今回の写真は、実家の庭に咲いているアルストロメリアです。きれいな花なのですが、根を張り巡らしてどんどん増えていくので、うちの母親には迷惑のようです。 (2017年6月28日)
(国税庁HP)