Q29.競馬の当たり馬券には税金がかかりますか?(東京都八王子市在住E様のご質問)
競馬には万馬券というものがありますが、過去には100円の馬券が1911万円になった例もあるようです(2009年2月船橋競馬場3連単)。このような場合に、税金は一体いくらかかるのでしょうか?
答えは、宝くじの場合とは異なり、かなりの金額を税金として支払わなければなりません。競馬の当たり馬券は、所得税の区分では原則として一時所得に区分されます。一時所得は、臨時・偶発的なのもので対価性がない場合の所得の区分です。一時所得は、臨時・偶発的という性質から税金面で優遇されています。
一時所得は、次のように計算されます。(収入金額−収入を得るために支出した金額−50万円の特別控除)÷2=一時所得の金額。つまり、このケースの場合には、(1911万円−100円−50万円)÷2=約980万円の一時所得に対して所得税が課せられます。仮に所得税の税率が23%だとすると、980万円×23%−636,000円=1,618,000円もの所得税を支払わなければなりません(所得控除は考慮から外しています)。この他にも住民税が課されます。競馬で大当たりした場合には、かなりの税金を支払うことを覚悟しなければなりません。
しかし、通常の当たり馬券の場合には、50万円以内であれば一時所得の50万円特別控除によって、税金は課せられません。
近年の裁判例では、一定の要件のもとで外れ馬券を経費として認める判決が下されています。2015年3月10日の最高裁判決では、予想ソフトを使用して馬券を大量に継続購入していた場合に、「営利目的の継続的行為」として判断され、外れ馬券を経費として認めました。このケースでは、馬券の購入はギャンブルではなく、営利を目的とした経済活動であるとされたため、一時所得ではなく雑所得に区分されます。雑所得では、一時所得のように50万円の特別控除や2分の1規定といった優遇措置はありませんが、必要経費が認められるという利点があります。
しかし、通常は競馬を「業務」のようなかたちで行うことは稀ですので、一般的には外れ馬券は経費になりません。この最高裁判決は、判例研究としては様々な興味深い点もありますが、あくまでもレアケースという側面が強いと思われます。
今回の写真は、3週間くらい前に埼玉県羽生市の水郷公園のそばにあるコスモス畑で撮影したものです。コスモスもよく見るといろいろな種類があり、変わった花を探すのもおもしろいです。 (2017年10月30日)
(国税庁HP)
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shotoku/04/08.htm