Q39.林業(個人)をしていますが、税金面で優遇措置はありますか?(埼玉県秩父市在住K様のご質問)
所得税では、所得を10種類に区分しています。なじみやすいものでは、給与所得、事業所得、不動産所得などがあります。林業をされていて、保有期間が5年を超える山林を売却した場合には、「山林所得」という区分になります。これに該当するものは、山林の植林から伐採そして譲渡までが対象になります。ただし、保有期間が5年以内のものは、事業所得又は雑所得に区分されます。製材業者が、製材してから販売するまでの場合には、事業所得に区分されます。
山林所得は、他の所得と比較して税金面で優遇されています。まず、山林所得は、総収入金額から必要経費を差し引いて、さらに50万円の特別控除があります。また、山林所得は、「5分5乗方式」という特殊な計算で税額が算定され、他の所得とは分離して課税されます。課税山林所得を5で割ってから税率をかけて、それを5倍するという計算をするのです。
例をとって考えてみます。課税所得が700万円の人がいるとします。事業所得の場合には、税率が23%(下記税率表参照)になるので、所得税は、700万円×23%−636,000円=974,000円になります。山林所得の場合には、700万円をまず5で割ります。そして、700万円÷5=1,400,000円に対しての税率になるので、税率は5%(下記税率表参照)になります。1,400,000円×5%=70,000円となり、70,000円を5倍するので70,000円×5=350,000円になります。このケースでは、事業所得の場合より山林所得の方が624,000円も所得税(復興特別所得税を除く)が低くなっています。
事業税でも、林業は優遇されています。土地を利用して養苗、造林、撫育及び伐採を行う林業に対しては、事業税は非課税という取り扱いとなっています。ただし、伐採のみを行う事業は、事業税が課税になります。
このように林業が優遇されている理由としては、戦後に国が林業を国策として推し進めたこと、林業は立木が育つまでに相当な期間を要することなどが考えられます。
個人的な話になりますが、今の時期はスギ花粉症がひどいです。林業が盛んになり、無花粉スギに植え替えてほしいと勝手ながら思っています。
今回の写真は、埼玉県羽生市の大天白公園に咲いていた寒緋桜(?)です。暖かい日もだんだんと増えてきて、いろいろな花がきれいに咲いています。先週の3月16日(金曜日)に確定申告の打ち上げを行いました。30名以上の職員が参加し、焼き肉をほおばりながら確定申告の労をねぎらいました。一部の期限後申告を除いて、無事に確定申告を終えることができたのでホッとしています。
(2018年3月20日)
(所得税税率表)
課税所得 税率 控除額
195万円以下 5%
195万円超330万円以下 10% 97,500円
330万円超695万円以下 20% 427,500円
695万円超900万円以下 23% 636,000円
900万円超1800万円以下 33% 1,536,000円
1800万円超4000万円以下 40% 2,796,000円
4000万円超 45% 4,796,000円
(国税庁HP)
