Q74.消費税の軽減税率制度について教えてください(14)。(埼玉県坂戸市在住R様他のご質問)
今回も、平成31年10月1日から実施が予定されている消費税の軽減税率について、国税庁が公表しているQ&Aをもとに、実務上問題となる点を見ていきます。
今回は、一体資産について見ていきます。一体資産とは、食品と食品以外の資産が一体として販売されるものをいいます。例えば、お菓子と玩具を一体として販売するようなものです。私が子供のころ、ビックリ○○シールというお菓子とシールを一緒に販売しているものがありましたが、これも一体資産の一例です。一体資産のうち、一定の要件を満たすものは軽減税率の適用対象となります。この一定の要件とは、次の①と②の両方を満たす場合をいいます。
①一体資産の譲渡の対価の額(税抜き)が1万円以下。
②一体資産の価額のうちに当該一体資産に含まれる食品に係る部分の価額の占める割合として合理的な方法により計算した割合が3分の2以上であること。
しかしながら、この規定にも、様々な問題がありそうです。例えば、紅茶とティーカップをセット商品として販売するような場合も、一体資産として取り扱われます。その際に、紅茶の値段とティーカップの値段によって、組み合わせはいろいろできると思います。紅茶の仕入価額が3,000円でティーカップの仕入価額が1,000円というような場合には、一体資産のうち食品の占める割合が3分の2以上なので、軽減税率の適用対象となります(合理的な方法を仕入価額とした場合)。しかし、紅茶の仕入価額が1,000円でティーカップの仕入価額が3,000円というような場合には、一体資産のうち食品の占める割合が3分の2未満になるので、軽減税率の適用対象となりません。
このような場合には、お店側は一つ一つの紅茶とティーカップの組み合わせについて、いちいち税率を考慮しなければならなくなるため、事務処理が煩雑になるおそれがあります。また、軽減税率を適用するために、本来はセット商品ではないものもセット商品として販売することが横行する可能性もあります。
国税庁が公表している「消費税の軽減税率制度に関するQ&A」は、平成30年11月に改訂となっていますが、これは国税庁が想定していなかった事例が後から分かったためだと思われます。この先も、国税庁が想定していない事例が出てくると思われます。そのたびに事例に対応するようでは、軽減税率制度はさらに複雑な規定となっていくような気がします。
今回の写真は、群馬県高崎市の佐藤病院のイルミネーションです。12月3日にわが子が誕生した病院です。夜中に病院に行くことが何度かあったのですが、このイルミネーションに癒されました。
本年も残り数日となりました。懸案だった年末調整も一段落つこうとしています。明日は弊社の仕事納めで忘年会が開かれます。日ごろのストレスもたまっているので、少し発散したいです。
本年1年もたいへんお世話になりました。
良いお年をお迎えください!
(2018年12月27日)
(国税庁HP)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/03-01.pdf
