コーヒーブレイク:剱岳登山の思い出(3)
今回も前回のブログの続きで、剱岳登山の思い出を記します。
前回は一服劔まで登ったことを書きましたが、そこからも厳しい山道が続きます。登山道のほとんどが、鎖場や手を使わなければ登れないような急登でした。足場も悪くがれ場のような道なので、落石の危険が常にあって緊張しました。途中には、足場が30㎝くらいのがけ沿いの道を鎖を使ってトラバースしたり、崖の上を幅が30㎝くらいの鉄板が引いてあり、そこを渡ったりけっこうたいへんでした。私の登山靴も山小屋で借りたもので、サイズが小さかったのでどこまで行けるかという感じでした。落石で足をけがしたメンバーも、なんとかついてこれましたが、足を引きずりながらの登山でした。
しばらく登って、前劔(2813m)というケルンがある場所に着きました。ここで進退の判断を迫られました。この先には、難所の「平蔵の頭」や「カニのタテバイ」「カニのヨコバイ」もあります。私は登山靴も借り物だし、この先に進むのは不安でした。足をけがしたメンバーも、これ以上は登るのはきつそうでした。結局、私とけがをしたメンバーが、前劔のケルンで待ち合わせをして、他の4名のメンバーで剱岳のピークに登頂することになりました。後で登ったメンバーから話を聞いたら、「カニのタテバイ」と「カニのヨコバイ」は怖かったと話していました。特に、下山ルートの「カニのヨコバイ」は足場が分かりづらく、危険を感じたと話していました。結果として、私たちは登頂を断念してよかったと思います。
1時間半くらいは前劔のケルンで待っていたと思います。けがをしたメンバーといろいろ話ができて楽しかったですが、高所なので寒かったです。「カニのタテバイ」も遠目ながら登っている所を見ることができました。リーダーの大学院の先生は、「カニのタテバイ」の手前まで登り、早めに引き返してくれました。3名のメンバーで剱岳のピークまで登頂しました。
剣山荘までの下りの道も、がれ場が続くので、落石には十分注意しながら下りました。下山の方が落石は怖いです。万一落石を起こして、前を進んでいる人に当たったらたいへんなことになります。下山道の鎖場に、チシマリンドウという紫の花が一輪咲いていたのが印象深いです。そんなこんなで、なんとか無事にメンバー全員で剣山荘に戻ることができました。続きは次回に。
(2020年8月26日)
(前劔から見た剱岳山頂)
(前劔から見た難所「カニのタテバイ」)