修士論文の紹介:「不法行為と損害賠償を巡る課税上の諸問題」(40)
今回は修士論文の第1章第2節第1項第1号の1回目を見ていきます。ここからはいよいよ、税法上の不法行為と損害賠償についての基本的な考え方を論じていくことになります。ここでは、不法行為の一方当事者が国等である場合について論じています。
第2節 税法上の不法行為と損害賠償についての基本的な考え方
第1項 国家と私人間の不法行為
第1号 国等の不法行為
不法行為の一方当事者が国等(国及び地方公共団体を指す。以下同じ)となる場合についても、上述(前節)の私人間における不法行為の考え方が概ねあてはまる。
まず、国等が不法行為の行為者となった場合においては、私人は国等に対して損害賠償を請求することができる。これは、判例からみると、大審院大正5年6月1日判決(徳島小学校遊動円木事件)において「小学校ノ管理ハ行政ノ発動ナルコト勿論ナレドモ、ソノ管理能力ニ包含セラルル小学校校舎ノ施設ニ対スル占有権ハ公法上ノ権力関係ニ属スルモノニアラズ、純然タル私法上ノ占有権ナルノミナラズ、ソノ占有ヲナスニモ私人ト不平等関係ニ於テコレヲナスニアラズ、全ク私人ガ占有スルト同様ノ地位ニ於テソノ占有ヲナスモノナレバ、コレニヨリ損害ヲ被ラシメタル場合ニオイテ民法第717条ノ規定ヲ適用シタルハ毫モ不法ニ非ズ。」と判示している通りである。
この判決のように、私法関係で見ると、国家と私人を全く平等の立場に置くことを意味する1。
1 中里実「私債権の一種としての租税債権−金銭債権としての租税と不当利得返還請求権−」(租税研究平成24年・1)62頁
今回の写真は、群馬県千代田町にある利根川の赤岩渡船のものです。自宅から車で15分くらいの場所にあるので、時々息抜きに訪れています。映画の「男はつらいよ」に出てくる江戸川河川敷を思わせるのどかな風景が広がっています。対岸の埼玉県熊谷市妻沼まで渡り舟で行くことができます。乗船したことはないのですが、無料で乗れるようです。対岸には、大学のグライダー部の基地があり、グライダーが滑空するのを見ることもできます。
真冬は赤城おろしの風が強く、ボードセイリングやカイトサーフィンがすごいスピードで滑走しているのを見ることができます。カイトサーフィンは、ジャイブする時に2〜3メートル飛び上がるので、見ごたえがあります。大学時代はヨットに乗っていましたが、今では見ることが楽しいです。
(2021年4月6日)