修士論文の紹介も長く続きましたので、今回はコーヒーブレイクです。
私も会計の実務に携わって、10年以上が経ちました。会計の勉強(簿記)を始めてから、20年近くになります。今さらながらに、会計ってシンプルだな思います。
物理学ならニュートンの運動方程式F=maだったり、化学なら気体の状態方程式のPV=nRTだったり、いろいろな公式があります。会計学にも公式があります。それは、「売上―費用=利益」(※「売上」は厳密には「収益」というべきかもしれません)という非常にシンプルなものです。微分積分はおろか、掛け算や割り算も使いません。小学校1年生で教わる足し算と引き算しか使わない公式なんです。
この「売上―費用=利益」という公式から、いろいろなことが分かってきます。例えば、利益を上げるには、「売上を上げる」か「費用を下げる」のどちらかしかないのです。これは実に奥が深いです。企業の目的は、利益を上げることになると思います。利益を上げるためには、まず売上を上げなければなりません。しかし、売上を上げるために費やした費用が多いと利益は上がりません。また、売上は上がらなくても、企業努力で費用を下げれば利益は上がります。
費用の種類にもいろいろあります。売上に応じて増減する変動費、売上の増減にかかわらず発生する固定費という区分もあります。また、固定費にも、交際費や広告宣伝費といった管理が可能な固定費もあれば、通信費や租税公課などの管理が不能な固定費もあります。これらを分析することで、会計を管理することが可能になります。その基になるのが、「売上―費用=利益」という公式なのです。
税務の考えも原則は同じです。法人税務上は、「益金-損金=所得」というように使う言葉は異なりますが、言っていることは「売上―費用=利益」と同じ考えです。
税務・会計の実務もいろいろと難しい面もあり、複雑な知識が必要なこともあります。私は、税務・会計は「基礎の積み直し」のように感じています。「売上―費用=利益」という非常にシンプルな公式の奥深さがだんだんと分かってくるのも、税務・会計の実務の面白さの一つだと思います。
(2024年7月17日)