前回のコーヒーブレイクで、確率・統計的な観点からギャンブルは損ではないかと述べました。今回は、税金的な面からギャンブルは損なのかを考えてみます。
例えば、競馬や競艇などで高額な馬券・舟券が当たった場合にはどうなるでしょうか。原則として、一時所得として確定申告しなければなりません。
一時所得は、臨時・偶発的なのもので対価性がない場合の所得の区分です。競馬や競艇などで勝った場合には臨時・偶発的なのものと認められるため、原則として一時所得になります。一時所得では50万円の特別控除が認められていますが、50万円を超えるような勝ちの場合には、所得税や住民税(国保税も)が課せられる可能性があります。さらに、原則として外れ券は必要経費として計上できません(例外的に外れ馬券を必要経費とできる裁判例があるにはありますが、あくまでも例外です)。最近では、国税局も、競馬や競艇などの高額配当金には注視しているようです。
競馬や競艇などで高額に勝ったとしても、所得税や住民税(国保税も)が課せられるのであれば、得とは言えないような気がします。せめて外れ馬券が必要経費にできるのでしたら良いのですが、原則的にはそうともいかないようです。
では、宝くじで高額当選した場合はどうでしょうか。宝くじで勝った場合には、1円も税金がかかりません。宝くじの当選金には所得税はもちろん、住民税も非課税の取り扱いになっています(当せん金付証票法第13条)。宝くじは税金面でかなり優遇されているのです。
それでは、宝くじで勝てば損はしないのでしょうか。必ずしもそうとは言えないようです。宝くじの当選金を家族や友人に分けてあげる、ということになると話が違ってきます。当選金を他人に分けることは、贈与ということになりますので、受け取った人に贈与税が課せられる可能性があります。110万円の基礎控除の範囲内でしたら、贈与税は原則として課税されません。しかし、110万円を超えてくると、贈与税が課せられる可能性があります。贈与税は、高い税率の累進税率ですので、高額な贈与税が課せられるかもしれません。
今、何かと話題となっているオンラインカジノで勝った場合はどうでしょうか(違法行為なので、してはいけないことは言うまでもありませんが・・・)。税法上は、違法(不法)な所得であっても課税の対象となることになっています。場合によっては、違法行為による刑事罰と脱税の両面でダブルパンチをくらう可能性もあるかもしれせん。
これらのことから、税金的な面から見ても、ギャンブルは得とは言えないようです。
(2025年3月24日)