「ある会計事務所の税務調査事件簿(1)」
※この物語は実話を基にしたフィクションです。
1章 プロローグ
20××年〇月〇日、初夏を思わせるとある日の午後、T会計事務所の固定電話が鳴った。
T会計事務所の電話受付の女性職員Kさんが電話に応対した。
「はい。T会計事務所です。」
「T会計事務所でしょうか。X税務署法人課税3部門のZと申します。A株式会社はT会計事務所が関与されていますか。」
Kさんは内心思った。「X税務署法人課税3部門からの電話か・・・。税務調査1でなければよいけれども・・・。」
「A株式会社は、弊社で関与しております。どのようなご用件でしょうか?」
X税務署のZ調査官は、きっぱりと、
「A株式会社の税務調査に入りたいのですが。」
Kさんは、「やはり税務調査だったか・・・。担当者は誰だろう・・・。」とドキドキした。
1 「税務調査」とは、納税者から提出された申告内容が正確かどうかを確認するために、税務署または国税局が行う調査のことをいいます。
通常は、税務署が行う調査を「任意調査」といい、国税局が行う調査を「強制調査」といいます。税務署が行う調査は「任意」という言葉が付いていますが、納税者には受忍義務があるので、正当な理由もなく拒むことはできません。