「ある会計事務所の税務調査事件簿(4)」
※この物語は実話を基にしたフィクションです。
T税理士は、A株式会社の決算チェックもしており、大枠の経理状況は把握していた。クラウドの会計ソフトを開き、ざっと決算書の確認をした。
「Sさん、A株式会社はそれほど問題ないんじゃないでしょうかね。売上も現金売上を含めて計上されていますし、大きな期ズレ2もなさそうですね。利益率3も安定していますし、変わった経費もなさそうですね。役員借入金4がやや多いのは気になるところですが・・・。」
「そうですね。A株式会社は資料もきちんと提出してくれますし、経理状況も良好だと思います。」
2 「期ズレ」とは、当期に計上するべき売上や経費を別の事業年度に計上することをいいます。特に、直近の決算月をまたぐ「期ズレ」は、重点的な税務調査の対象になります。
3 「利益率(粗利率)」とは、売上に対して粗利(売上総利益)が占める割合をいいます。粗利に大幅な変動があると、利益調整が疑われるため、税務調査で重点的にチェックされます。
4 「役員借入金」とは、会社が役員から借り入れているお金になります。通常は、役員報酬の未払いや役員のポケットマネーで経費を支払ったりすると計上されることがあります。売上が未計上の場合も計上されることがあるため、税務調査でも重点的にチェックされます。
(2025年11月11日)