「ある会計事務所の税務調査事件簿(24)」
※この物語は実話を基にしたフィクションです。
5章 クレーム
T税理士は、T会計事務所に帰ると、経理担当のSさんに話かけた。
「いや~。大変なことになった。A株式会社のB社長は、売上を8000万円も隠ぺいしていたんだ。調査期間も7年まで伸ばされてしまった。」
Sさんは、驚いた様子で、
「そんなに隠していたんですね?!7年間遡られるとは、税務署も相当悪質だと見ていますね。」
と返答した。
「そうなんだよ。もはや、在庫や旅費の個人経費ということは論点にはならなくなった。こんなことが起こるとは思ってもみなかったよ。脱税として刑事事件になってもおかしくない金額だよ。」
T税理士は、ぼやいた。
その数日後だった。B社長から、T会計事務所に電話が入った。
「売上を隠していて悪かったことは私も認める。反省している。ただし、T会計事務所も追徴税額を減らしてもらわないと困る。」
明らかなクレームの電話だった。
そのような電話が何度もかかってきた。
SさんもT税理士もすっかり困り果ててしまった。
(2026年4月13日)