個人事業者の方が法人なりするときの時期についてなどご質問が多いところです。
① 引継ぎの時期について
個人事業者を8月までで終わりにして、9月から会社に移動するとします。個人事業者が8月31日で廃止するのは、税務署などに届け出を出せばよいのですが、会社が9月1日にないと会社に移すことができません。
となると9/1〜会社にするには、8月中に会社を設立します。会社設立していても会社が稼働しない期間があることになります。このことは何も問題がありません。届出を出せば均等割りもかかりません(端数切捨てで実際は変わらないのですが)。
ここで9月から会社にしたいのですが、会社設立が9月10日の場合はどうかという問題が出ます。10日間だけ個人事業者を申告するのが本来のやり方ですが、月末〆などのときは面倒です。この場合も10日間は会社に売上計上してよいと思います。個人であれ会社であれ売上が漏れていなければ税務署も10日間のことをうるさくは言わないと思います。
でも会社設立が25日なら引継ぎは翌月にしたほうがよいと思います。この辺は程度の問題かと思います。
② 個人事業者の売上が会社に入るのですか?
個人事業者を10月で廃業して11月から会社にしたとき、10月分の売上は11月か12月に入金になるのですが、それは会社の通帳にいれて会社の売上にするのですか?という質問が多くあります。
個人事業者として活動していた10月分の売上はいつ入金になっても個人事業者の売上になります。その入金が会社の通帳に入ったとしても会社の売上でなく個人事業者の売上です。それは支払いも同じです。10月中に個人事業者としておこなった外注費や仕入は支払いが12月であっても個人事業者の経費です。
入金が会社に入るのはおかしいですか、ということなのですが、個人事業者の最後の貸借対照表に売掛金や在庫や買掛金がありそれを会社が引き継いでいるときは、会社に入ることになります。繰り返しになりますが会社に入ったとしても会社の売上ではありません。
経理の仕訳は、会社の期首にあった売掛金がはいってくる、「 現預金 / 売掛金 」となり会社の売上になりません。
③ 消費税について
個人事業者が法人なりするとき個人事業者が事業に使っていた車や機械、在庫は会社に移すことが多くなります。そのとき個人事業者が消費税の課税事業者でしたら、個人が会社に売却することになりますので、一気に消費税がでることになります。特に在庫の多い方などは資金繰りの関係で注意が必要です。
考えようによっては、在庫ならいつか出る消費税が一度に出るのだからそれは後で出るものなのでしょうがないと考えることもできます。ただ機械などでは会社に移動すると設置したとき免税なので課税仕入で消費税が下がっているという恩恵は受けていないので消費税分、損するような気がします。会社が設立になると原則2年間免税なのでそこで消費税の恩恵があるのでその辺も仕方がないという感じかと思います。
もし売却するのが難しいときは個人が会社に貸付けるという方法も取れます。この場合貸付業は継続するので個人事業者はそのままです。消費税が課税事業者なら消費税は支払うことになります。