事務所内部の質問回答です。公開するようなものではないのですが、会計事務所の内部の勉強のようなものです。
会社設立のとき銀行での借り入れの質問を多く受けます。できるだけ銀行の融資の仕組みを知り説明してあげるとよいです。仕組みを知っていても借りられることはできないのですが、説明を聞くと安心するようです。
経理担当者の方へ
銀行融資の件で事務所内の質問回答です。
◆スタッフ
以前の職場で借入をしにきた人の情報を必ずレンダース(信用情報機関日本には信販会社・銀行協会・カード協会の3つがあります)で確認するんですが、消費者金融に限らず金融会社全体で共有している情報だったかと思います。
一件借入の申込みをするとレンダースに履歴が残り、断られるとまたその情報も残ったかと思います。
借入事故などは当然そこに情報が入っているのですが、場合によっては断った内容も共有されてしまうようになってたと思います。
松岡
私もはっきりわからないのですが、銀行は事業計画で1件とカウントするようです。申し込まれた事業計画が認められなときは少なくとも半年以内は次の事業計画(仮に修正しますと言っても)を受け付けないようです。
その場合銀行単位で情報は共有されます。事故歴は信用情報機関3社で共有しています。
県制度融資のときは、銀行で受け付けてOKのとき、銀行から信用保証協会に資料が渡ります。審査が信用保証協会に移ります。信用保証協会の審査でダメなときその理由によっては半年してもだめです。
例えば事故歴です。あと滞納です。県制度融資のとき銀行の審査はあまいです。よって信用保証協会でだめになると情報は保証協会で共有され、どの銀行から提出してもそのだめだった理由が解消しない限り融資は通らないです。
信用情報は原則ですが5年間記載されることになっているようです。でも記録を5年しても消さない会社もあります。そのときは弁護士や本人が申し立てて消すことができます。7年前の事故歴が消えていないために借り入れやリースができないということはよくあります。5年で時効なのだから削除依頼をして削除しても1度事故歴を確認されてしまうと銀行は審査項目の1つで×をつけることになるようです。事故歴確認は制度融資や国の融資ではしないことになっているようですが、実際はしているのだと思います。銀行融資は法律に基づいて公平に行う必要のあるものではありません。よって個人差が出ます。
情報機関から取得した用紙にはABCDとか5種類くらいの履歴があります。
借入情報も記録があると思います。
◆スタッフ
銀行に税務署から連絡が入って、税務調査入られたことが知られているのではないかとご心配されています。
税務署が銀行データを取得する方法などが分からないので、松岡さんに聞いてみますと申し上げました。
その部分がクリアになってから銀行に事業拡大のための融資の相談に行きたいとのことでした。
松岡
税務署がデータを取得するのは個人情報の取得になるので税務署内の決裁が必要になるようです。口座を特定して行う場合がほとんどと思いますが、相続などのときは家族名義も行うので名寄せで銀行単位で、またはわかる範囲でまとめて調査するのだと思います。
犯罪級の時はよくわかりませんが銀行協会から全銀行に連絡するのかもしれません。
税務署は税務調査のためという理由で銀行に開示請求するのですから記録は残ると思います。でも銀行にその記録が残ることと審査の項目とがリンクするのかはわかりません。
融資の審査は2段階になります。①制度融資の場合銀行の審査→比較的あまい(県制度融資は県のお金なのでプロパー融資のように銀行のリスクが高くない。貸し倒れのときも保証協会が立て替えてくれるので)②信用保証協会の審査→厳しい、というかたちになります。
保証協会と話ができるのは銀行です。銀行を窓口にして資料などを実質的な審査をする保証協会に送付し、説明も担当の銀行員を経由します。
だから銀行ではなく担当している銀行員のやる気があるかどうかで結果が違ってきます。実質的な審査を行う補強協会の担当者と窓口になる銀行員がどうでもよいと考えて仕事をすれば結果もあまり期待できないからです。
大きい金額の融資の場合銀行員個人を納得させるだけの具体性と熱意がなければ借り入れは成功しないと思います。
具体性とは証拠となる資料です。契約書、受注書、具体的な取引とその時期と金額、積算単価で積み上げた人件費と地代などの固定費から利益が出るという計画です。