Q79.節税について教えてください(2)。(埼玉県川口市在住S様他多数のご質問)
前回のブログで、お金を手許に残しながら節税する方法もあると申し上げました。今回は、法人が対象になってきますが、役員報酬を支払うことを取り上げます。
法人の場合には、役員報酬を調整することで、効果的に節税することができます。
例をあげて考えてみます。社長の役員報酬を0円とした場合に、税引前純利益が360万円である法人であったとします(ここでは話を簡単にするために資本金が1000万円以下、従業員が50人以下である同族会社をモデルケースとしています)。この時に、法人税等は約22%+均等割りの約7万円かかりますので、約86万2千円の法人税等が発生します。
しかし、社長の役員報酬を毎月30万円で1年間360万円と設定しますと、税引前純利益が0円となりますので、法人税等は均等割りの約7万円だけとなります。ただし、役員報酬を支払いますと社長に給与所得が発生しますので、社長が所得税・住民税を支払うことになります(ここでは話を簡単にするために社会保険料の支払いを考慮外としています)。この時に、360万円の給与収入に対して126万円の給与所得控除が使えます。また、一定の要件を満たす扶養している親族がいる場合には扶養控除や配偶者控除等が使えますし、全ての人に基礎控除の38万円も使えます。その他にも、社会保険控除や生命保険控除なども使えますので、100万円位の所得控除が使えるケースも多々あると思います。そうするとこの場合には、360万円−126万円−100万円=134万円に対して所得税と住民税が発生します。
所得税は、超過累進税率を採用していますので、134万円の所得では5%の税率(復興特別所得税を除く)となります。また、住民税は一律約10%の税率(均等割りを除く)ですので、134万円×15%=約20万1千円の所得税と住民税が発生します。
そうしますと、このケースでは、役員報酬を支払う前の法人税等の86万2千円から、所得税・住民税の20万1千円+均等割りの7万円を差し引いた59万1千円も節税できることになります。
もちろん会社法上は、法人と社長は別人格ですので、役員報酬も社長という別の人格に支払うことになります。しかし、同族会社では、法人は社長のものであるという側面もありますので、役員報酬の支払いは社長の手許にお金を残しながら経費を上げていると考えることもできます。
今回の写真は、通勤途中の埼玉県加須市騎西に咲いていたオカメサクラ(?)です。あちこちで花がきれいに咲く季節となりました。この辺ではソメイヨシノももうすぐ満開になります。
今日は新しい元号が発表されていました。令和だそうです。初めにこれを聞いたときに、ゼロサムという言葉が浮かびました。経済学でゲーム理論を勉強されている方などにとっては、ゼロサム(ゲーム)を連想された方も多いのではないかと思います。カレンダーを作る会社やシステム関連の会社、官公庁などでは元号が発表されたことで大忙しではないかと思います。
(2019年4月1日)
