以下、A調査官(税務署)、B税理士、C社長(建設業)との税務調査でのやり取り。
・・・一通りの社長への面談が終わった後・・・
A調査官:C社長、「出面表」は作っていますか?
※出面表(でづらひょう)とは、建設業などで現場作業員の出勤簿のようなものになります。出面表で、現場ごとに誰がどのくらいの時間作業に従事したかが分かります。
C社長:特に出面表は作っていません。
A調査官:それでは工事現場の人員はどのように管理しているのですか。
C社長:手書きのスケジュール帳で管理しています。
A調査官:それではそのスケジュール帳を見せてください。
B税理士:スケジュール帳には個人情報が入っている可能性もあるので、こちらが指定した範囲だけの確認をお願いします。C社長、スケジュール帳を持ってきていただいてよろしいでしょうか。
C社長:分かりました。今、持ってきます。
B税理士:(心の中で)これはおそらく「未成工事支出金」の確認だろう。ボロがでなければいいが・・・。
※「未成工事支出金」とは、決算期をまたぐ長期の工事で、まだ完成引渡しを行っていない工事原価を「未成工事支出金(仕掛品)」として資産計上するものです。経費として計上できるのは、売上に対応するものに限られます(費用収益対応の原則)。そのため、まだ完成引渡をして売上を計上されていない工事に対しては、それに対応する経費はその期には計上できないのです(工事完成基準)。
次回に続く。
(2024年11月25日)