Q1.マッサージ費用は医療費控除に含まれますか?(埼玉県春日部市在住S様のご質問)
個人の確定申告では、医療費控除に関するご質問も多くお受けします。原則としては、病気やケガの治療のための支出は医療費控除の対象となります。しかし、美容や病気の予防などのための支出は医療費控除に含まれません。
マッサージ費用についてですが、医療費控除の対象として「治療のためのあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師などによる施術の対価(下記国税庁HP参照)」が掲げられています。したがって、病気やケガの治療のためのマッサージ費用は医療費控除の対象となりますが、単に疲労回復のためやリフレッシュのためなどの治療に関係ないものは医療費控除には含まれません。
二週間ほど前になりますが、3月18日(土曜日)に確定申告の打ち上げもかねて、お世話になった大学院の先生方と税理士仲間8名のグループで、神奈川県湯河原町の幕山(標高625m)に登山に行ってきました。天候も良く、登山行程2時間30分ほどの気持ちの良い山登りでした。山頂からは真鶴半島も見渡せて、眺望も良かったです。梅も見ごろは過ぎていましたが、きれいに咲いていました。下山後には売店で売っていたみかん(小春、一袋200円)を2袋お土産に買いました。登山には景色を見ることや空気のおいしさなどの楽しみがいろいろありますが、下山後に温泉に入りビールを飲むことも大きな醍醐味です。今回も、湯河原温泉の日帰り湯につかり、ビールを飲んで帰りました。登山後の温泉とビールには格別なものがあります。
ところで、温泉の支出は医療費控除の対象になるのでしょうか。そんな訳はないと笑われそうですが、本当にそうでしょうか。温泉には効能として、胃腸病や打撲などが書かれているものもあります。また、温泉は医療機関によっては、温泉療法を行っている病院もあります。(長野県にある鹿教湯温泉の鹿教湯病院など)温泉療法で使用する温泉は治療のための支出なので、医療費控除の対象になりそうです。しかし、通常温泉に入る場合には、病気の治療というよりも疲労回復やリフレッシュのためですので、やはり医療費控除の対象にはなりません。
では、ビールの支出は医療費控除の対象になるでしょうか。酒は「百薬の長」とも言われます。また、薬用酒なども販売されています。治療のためにお酒を飲んでいると主張する人もいるかもしれませんが、これは認められないでしょう。お酒の飲みすぎは肝臓を悪くしたり、アルコール依存症になる危険性もあります。病気の治療というよりも、病気の助長になってしまうようでは、医療費控除の趣旨から外れてしまいます。そもそもが、医療費控除として飲み屋の領収書であふれてしまっては、医療費控除の制度が破たんしてしまうでしょう。(会計事務所もたいへんになります)
(2017年4月6日)
(国税庁HP)