修士論文の紹介:「不法行為と損害賠償を巡る課税上の諸問題」(29)
しばらくの間、コーヒーブレイクで剱岳登山の思い出を記してきましたが、今回から修士論文の紹介に戻ります。
今回は修士論文の第1章第1節第1項第3号の3回目を見ていきます。ここでは、民法上の不法行為の成立要件のうち「違法性」について論じています。本修士論文の第2章における「不法所得」「違法支出金」の基礎的な論点になります。
また、②の違法性に関して、「民法は不法行為の成立要件の一つとして権利または法律上保護される利益の侵害といっているが(民法709条)、広く違法な行為と解すべきであり、その違法性の認定に当たっては、侵害された利益と侵害行為の態様の両面から考えるべきである。1」とされている。ここでの被侵害利益は、財産権と人格権に大別して考えることができる。財産権については、大きく物権の侵害と債権の侵害とが存在する。人格権については、生命の侵害、身体の侵害、自由の侵害(肉体的自由と意思決定に関する精神的自由を含む)、貞操の侵害、名誉の侵害、プライバシーの侵害などが存在する。また、侵害行為の態様としては、刑罰法規違反行為、取締法規違反行為、公序良俗違反行為、権利濫用行為とが存在し、その違法性が強ければ、これによって侵害される利益の権利としての性格が弱くてもなお不法行為として損害賠償の義務が認められる。
1.我妻榮・前掲注2・438頁参照
9月に入りましたが、まだまだ暑い日が続いています。夕方になると突然、ゲリラ豪雨のように大雨が降る日もあります。先日は台風も九州で大きな被害をもたらしました。気候病という言葉もありますが、8月の後半くらいからあまり気分がすぐれません。季節の変わり目ということもあるかと思いますが、大きなストレスを避けたい今日この頃です。
仕事も自分にできることを無理なくやっています。少しでも自分にできることをするのが、精神的にも良いようです。
皆様方におかれましても、どうぞお体にお気を付けください。
(2020年9月9日)